大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)300号 判決

本籍並びに住所

別府市大字別府六七一番地の三

上告人

鶴田道造

右訴訟代理人弁護士

山本真平

本籍

大分県速見郡豊岡町大字豊岡一一九四番地

住所

別府市秋葉通り二丁目

被上告人

嶋末泰広

本籍並びに住所

同上

被上告人

嶋末紀正

本籍

同上

住所

別府市南石垣字寄屋敷八組 帆足方

右両名法定代理人親権者母

嶋末花

右当事者間の子の認知請求事件について、福岡高等裁判所が昭和二九年一二月一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、所論嫡出子否認の訴が一年の出訴期間を経過してなされたものであるからその判決が無効であることを主張する。しかし、出訴期間経過後に訴の提起がなされたとの事実関係は原審において主張されなかつたものであるから、当審においてこの事実を主張することは不適法である。(なお右判決が確定したことは原審において証拠により認定したもので仮りに所論のような事実があつたとしても右判決は当然無効とすることはできない。)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

昭和三〇年(オ)第三〇〇号

上告人 鶴田道造

被上告人 嶋末泰広

外一名

上告代理人山本真平の上告理由

原判決は法令に違背してなされた違法かある。被上告人等は何れも甲斐菊馬と上告人等の母嶋末花とが婚姻中に出生したのだから民法第七七二条に依り適生子の推定を受くべき身分上の干係に在る。而して被上告人両名を分娩した事実は夫たる甲斐菊馬に於て当然之れを知つてゐたに拘らず長年月の間被上告人等間の嫡出子否認の訴を提起することなくじんぜん日を送り偶〓上告人か罹病し病危篤の報を聞くや昭和二十六年五月嶋末花と夫菊馬は杵築家庭裁判所に於て合意の離婚調停を成立せしめたる上同月二十七日右菊馬より被上告人等に対し嫡出子否認の訴を提起してその裁判を確定せしめた後その頃大分家庭裁判所に被上告人等は上告人に対し子の認知並に慰藉料等の請求をなしたことは記録に徴し明白である。而して甲斐菊馬か被上告人等に対しなしたる嫡出子否認の訴は民法第七七六条に依る嫡出子否認の訴の提出期間一年を経過してなされたことは明らかであるから当然右判決は無効であるべき筋合である。

而して上告人は訴状に依る被上告人等主張の第六事実に対し之れを争ふてゐるのであるから此点に干する判断を開示すべき筋合に拘らず何等の理由をも示してない原判決は此点に於て失当であると信ずる。

以上

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